前述の橘玲氏「人生は攻略できる」で、もう一つ気になった項目がある。
それは、「その仕事は拡張できるか、拡張できないか?」という観点だ。
欧米ではスペシャリスト(債権売買、営業)とバックオフィス(取引の記帳など)で、同じ企業でも全く違う世界であるという。
日本では、まだ必ずしもその境目が明確になっているとは言い切れないが、今後はスペシャリスト(高給与・高い地位)とバックオフィス(低給与・代替可能性大)がより明確になっていくであろうことは、想像に難くない。
また、映画・音楽・プロスポーツ・プログラム・webサービスなど、はクリエイターの世界であり、「拡張可能」であるビジネスかどうかということは、今後の仕事を考える上で有用だろう。
医師・弁護士などのスペシャリストは、社会的地位も高く、給与も高いが、その分ハードワークで、責任も大きい。
バックオフィスは、マニュアルさえあればできる、代替可能性の高い仕事なので、マックジョブと揶揄され、給与も地位も低い。
今後の仕事を考える上で、ビジネスに拡張可能性の要素はあるかというのは、ひとつの重要な要素といえよう。
最近普及している月額のサブスクリプションサービスなどは、典型的な拡張可能性の要素を備えたビジネスだろう。
顧客との対話でニーズを読み、契約数を増やしていけば、十分にビジネスを拡張できるし、一つの成功ケースを作れば、それを横展開することも考えられる。
拡張可能性を考える上で重要なのは、「数が増えるほど業務面で自分にとって楽になるか?苦しくなるか?」だ。
例えば、500人にバッグを貸し出すサービスで、1人月3,000円の収益と、30人に対し本人が訪問しwebでのコンサルティングを月4万5千円で行うサービスでは、絶対に前者の方が拡張性がある。
後者は、
- 本人でなければサービスを提供しにくい(属人性が高い)
- 1社1社に真剣に向き合う必要があるため、準備やアドバイスに相当なエネルギーを使う
- サービス提供者に万一のことがあれば、おしまいになる
という点があるからだ。
このデメリットは、組織化やフランチャイズ化など、自分の分身を作らなければ対応はできない。
(ただし、こうして一対一で向き合う中で得たコンテンツを書籍や情報として販売できれば、そちらの部分では拡張性のあるビジネスとなるだろう)
いずれにせよ、提供者に肉体的・精神的に大きな負担がかかるビジネスを長続きさせることは大変である。
だから、いかに「拡張可能性があるか」「拡張しても負担が比例して大きくならないか」を真剣に考えて、関わるビジネスを選ぶことは重要だと考える。
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