小規模企業共済は企業でないと使えないという誤解がありますが、個人事業主・フリーランスでも使えます
小規模企業共済という、スタートアップや中小企業、個人事業主でも使える、「企業経営者や個人事業主・フリーランス」向けの退職金を自分で積み立てる制度があります。
小規模企業共済という名前から、小企業企業のためのものにみえ、個人では使えないという先入観を持ちがちですが、実は個人(個人事業主・フリーランス)でも使えます。
中小機構による、小規模企業共済の概要
小規模企業共済のどこがいいの?
小規模企業共済のメリットはどのような部分でしょうか。
掛金を、全額所得から差し引くことができる
最大のメリットは、「掛金を確定申告の際、全額所得から差し引くことができる」という点です。
つまり、課税対象所得の部分から、掛け金分全額を差し引くことができるため、所得税・住民税、その他連動する税金を抑えることができるメリットがあります。
(人によってどれくらい節税できるかは状況により異なりますので、税理士の先生、税務署などに相談してください。)
掛金は1,000円~70,000円まで、500円単位で増減可能
掛金の幅、増減が自由にできるのも大きなメリットです。
例えば、1,000円だけでもとりあえず始めてみるということもできますし、ある程度収入が大きくなっていれば、MAXの70,000円で加入するのもありでしょう。
支払方法は口座引き限定です(クレジットカードなどは使用不可)。
また、月払い、半年払い、年払いが選択でき、前納(先に収めること)により、一定割合の前納減額金も受け取ることができます。
また、1年以内の前納掛金であれば、控除対象となりますので、「予想以上に収益が出そう・・」という時に、前納なり、掛金の割合を増やすことにより、節税効果も期待できます。
具体的にどれくらい節税できるのか?という点については、中小機構のホームページに「加入シミュレーション」というのがありますので、ぜひそちらをご覧ください。
ちなみに、課税所得400万円で掛金月額30,000円というプランだと、109,500円、
掛金月額70,000円なら241,300円の節税(H29年4月時点、住民税均等割5,000円)、課税所得1,000万円で掛金月額70,000円なら367,000円の節税効果があるとサイトには記載されています。
なお、運用の予定利率は、令和元年9月時点で、1.0%となっています。
共済金は、退職・廃業時に一括、分割、一括・分割併用で受け取れる
共済金は、一括受取と分割受取、もしくは両方が併用でき、一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は、公的年金等の雑所得扱いとなります。
また、解約を行わなくても、積立額の一定の範囲内で、利息はかかりますが、貸し付けを受けることもできます。
(保険の貸付制度に近い感じでしょうか)
小規模企業共済の注意点を一つだけ!
小規模企業共済全体の説明については、前述の小規模企業共済のページをご覧いただきたいですが、
掛金納付月数が6か月未満の場合は、共済金A、共済金Bはお受け取りいただけません。また、12か月未満の場合は、準共済金、解約手当金はお受け取りいただけません。
掛金納付月数が、240か月(20年)未満で任意解約をした場合は、掛金合計額を下回ります。
※掛金納付月数は掛金月額500円を1口とした掛金区分ごとに数えます。
加入期間が240か月以上でも、途中で掛金を増額/減額した場合で掛金区分ごとの掛金納付月数が240か月を下回ったときは、任意解約した場合に受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回ることがあります。
など、加入期間が極端に短いと共済金が受け取れないケース、20年未満で任意解約(加入者の申出による解約)をした場合は、受け取れる掛金が支払総額を下回るなど、期間が一定期間以下の場合は、デメリットもありますのでご注意ください。
(また、「掛金納付月数は掛金月額500円を1口とした掛金区分ごとに数えます。
加入期間が240か月以上でも、途中で掛金を増額/減額した場合で掛金区分ごとの掛金納付月数が240か月を下回ったときは、任意解約した場合に受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回ることがあります。」という部分、ここは少しわかりにくいので、また機会があれば、これはどのように考えるのか、中小機構に聞いてみたいと思います。
ただ、いずれにせよ、加入者にとってはメリットの非常に多い制度ですので、個人事業主・フリーランス・中小企業の経営者の方の退職金積み立て代わりとして、お勧めします。
なお、経営者・事業主向けのサイトも担当しており、こちらにも経営者向けの話を複数書いておりますので、ご興味があればどうぞ。(ニアショア・地方ネタなどが多めです)
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